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難聴になって困るのは、人との会話だけではありません。難聴が原因で、私たちの日常が危険にさらされる可能性が高まることをご存じですか?この記事では、難聴者が転倒しやすいという事実、そして転倒して頭を強く打つことで起こる外傷性脳損傷についてお伝えします。
2019-08-29

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難聴が引き起こす危険な転倒

難聴が原因で、私たちの日常が危険にさらされる可能性が高まることをご存じですか?今回はその一例として、難聴者が転倒しやすいという事実、そして転倒して頭を強く打つことで起こる外傷性脳損傷についてお伝えします。

転倒の危険性を知れば、難聴を放置するのは危険だと思うはずです。たかが難聴、音が聞こえにくくなっただけ、と思っていると、あなたの身体に大変なことが起こるかもしれません。難聴が影響を与えるのは、人と会話することだけではありません。

難聴と転倒の関係

ジョンズ・ホプキンズ大学の研究では、軽度の難聴でも、健聴者に比べて転倒のリスクを3倍に増加させるという結果が出ています。また、難聴が進行するほど転倒するリスクも高くなります。

ではなぜ難聴になると転倒しやすくなるのでしょうか? それは自分の周囲の環境を認識しにくくなるためです。例えば、難聴になると他人が近づいてくる音が聞こえにくくなるので、とっさに対処できず、他人にぶつかるなどして転んでしまいます。音がしっかりと聞こえていたら対処できることも、難聴であるがゆえに対処できなくなるのです。

転倒によって外傷がなかった、あるいはすぐに異変が起こらなかったとしても、脳損傷が起きていることがあります。この外傷性脳損傷を引き起こした事故の90%において、本人は外傷を受けた直後に意識を失っていません。つまり、本人はまさか自分の脳が傷つくほどのダメージを受けているなんて想像もしていません。

同時に、難聴は脳に大きな負担をかけます。音が聞こえにくいために脳は周囲の様子を知ろうとして常にフル回転します。音を聞くための負担が増えることで、バランスや歩行をつかさどる脳のリソースを減らす場合があります。特に高齢の難聴者の転倒リスクが高くなるのはこのためです。

補聴器の有用性

補聴器は小さな音や、音の方向感覚もサポートします。補聴器を使用すれば人やペットが近づいてくる音が聞こえ、ぶつかったり、つまずいたりして転倒したりすることが減るでしょう。適切な補聴器を使用し、聞こえを改善することで、難聴によって起こる脳の過剰な負担も防ぎます。

補聴器を使用するメリットは、注意力を高めるだけではありません。ワシントン大学医学部の研究によれば、補聴器を使用した時と使用していない時にバランステストをしたところ、補聴器を使用した時のほうがバランスを保てることが判明しました。

この結果は、私たちは視覚によってバランスを保っているだけでなく、聴覚もバランスを保つために使用していることを示しています。

聞こえの向上で転倒の防止

補聴器を使用し、周囲に対する注意力を高め、バランスを保つようにすれば、外傷性脳損傷を起こすリスクが軽減します。難聴のせいで起きる転倒と外傷性脳損傷を防ぐためには、まず定期的に聴力検査を受けること、そして、適切な対策を取ることが大事です。

最近よく転ぶようになったと感じていませんか? 難聴がご自身(または身近な方)の転倒リスクを高めているのかもしれないと思ったら、耳鼻咽喉科の医師に相談することをお勧めします。

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