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難聴の種類について、多くの場合では伝音性難聴、感音性難聴、混合性難聴の3種類だと説明されますが、実はもう1種類、難聴に似た症状が出る障害があります。それは「聴覚情報処理障害」というものです。この記事では、聴覚情報処理障害の症状や対処方法について説明します。
2021-02-26

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聞こえているけど聞き取れない?聴覚情報処理障害(APD)とは

難聴の種類について、多くの場合では伝音性難聴、感音性難聴、混合性難聴の3種類だと説明されますが、実はもう1種類、難聴に似た症状が出る障害があります。それは「聴覚情報処理障害」というものです。この記事では、聴覚情報処理障害の症状や対処方法について説明します。

聴覚情報処理障害とは

聴覚情報処理障害(Auditory Processing Disorder=APDと略されることが多い)とは、聴力は正常であるにも関わらず、日常生活のいろいろな場面で聞き取りにくさ(聞いた言葉の内容が理解しづらい状態)が生ずるというものです。

具体的には、音を収集・感知する箇所(外耳、中耳、内耳、末梢の聴神経)の機能には異常が無く、聴覚情報を処理する「脳」の中枢神経に何らかの問題がある状態です。音は聞こえているのに、「言葉の処理」ができない状態なのです。その障害をもつ潜在的な患者数は、推定240万人にものぼると言われており、日本人の約2%が該当します。APDはあまり知られていない障害でしたが、2018年にNHKで取り上げられてから、日本でも少しずつ知られるようになってきました。

APDの症状

APDの症状は

  • 聞き返しや聞き間違いが多い
  • 長い話を理解するのが難しい
  • 雑音やバックグラウンドミュージックなど、環境が悪い状況下での聞き取りが難しい
  • 口頭で言われたことは忘れてしまったり、理解しにくい
  • 視覚情報に比べて、聴覚情報の聴取や理解が困難である

等が挙げられます。難聴と似た症状に思われますが、「聴力検査をしても異常がない」というのが大きな特徴です。適切な検査を行わないと、他のタイプの難聴と区別するのが難しい場合もあります。

APDの診断

APDの診断基準は、まだ国内で定まっていないと言われています。その原因がはっきりしていないからです。聴覚処理障害は脳や中枢神経の問題で、脳機能の障害や発達障害、心理的要因など、人によってさまざまだと考えられています。今のところは、通常の聴力検査は正常であるにも関わらず、APDの聞き取り検査で一定の基準から外れた場合に、APDと診断されます。

APDの対処方法

残念ながら、APDの医学的治療法はまだ解明されていません。ただしAPDに対する支援方法は、いくつか考えられています。

  • 環境調整
    周囲の雑音をおさえたり、話者との距離を縮める等、聞き取りやすい環境を作る
  • 補聴手段の利用
    APDは雑音下での聞き取りが苦手なことが多いため、補聴器等の補助器具で雑音を押さえて聞き取りやすくする
  • 聴覚トレーニング
    正確に言葉を聞き取るためのトレーニング、確実に聞き取れなかった時の聞き返し方のコツ、会話を続けるためのヒントを相手から引き出す方法、注意力や記憶力を高める、など様々な聞き取り能力を向上させる方法があります。
  • 心理的な支援
    何かしらの心理的問題によって、聞き取り困難が発生している場合もあります。その場合、精神疾患など二次的な影響につながる可能性があります。そのため、カウンセリングなど専門的な支援を受けるのも重要なサポートになります。

聞いた言葉が理解しづらいと感じている方は、まず耳鼻咽喉科で聴力に問題ないか、診断を受けることが最初のステップになるでしょう。「聴力は正常」と判断されたにも関わらず、実際の生活場面で聞き取りにくさに悩んでいる方は、APDを専門とする病院で受診することをお勧めします。また、聞き取りの改善に補聴器が役に立つと判断された場合、ぜひ補聴器販売店で専門スタッフと相談してみてください。